ファッションブランドとして名を馳せるエルメスの始まりは、1837年。この頃はまだ鉄道や自動車がまだ誕生していないため、ほとんどは馬を使って移動していました。
馬車などの登場により、さらに馬具へとの需要が高まっていた時代で、エルメスは高級馬具工房としてブランドをスタートさせます。エルメスの作る馬具は、現在と同じく高品質であり、使いやすいと好評でした。
時代の流れとともに馬具の需要も低い傾向になりましたが、馬具工房時代で培った技術と高品質なレザー類を融合させて、今のファッションブランドとして再スタートさせました。
そんな長い歴史をもつエルメス。バーキンやケリーといった定番アイテムのようなものがあれば、惜しまれつつも廃盤や製造中止となったアイテムも存在します。
現在では手に入りにくいアイテムは、ヴィンテージの価値が高まっている傾向にありますね。
今回は人気を集める、ヴィンテージのエルメスアイテムについてご紹介しましょう。 「あ、このバッグ懐かしい」「こんなアイテムがあったのか!」とエルメスの魅力を再発見してください!
エルメスバッグの始まりである、オータクロア
エルメスが初めて制作したバッグとも呼ばれる、オータクロア。1892年に誕生したアイテムで、その歴史は100年以上とエルメスを影から支えてきました。
最初はバッグとしてではなく、乗馬で使用する鞍を収納するアイテムとして登場。その後馬車から自動車文明となり、オータクロアはそのサイズ感と機能性から旅行バッグとして注目を集めるようになりました。
そんなオータクロアをきっかけにエルメスはファッションブランドとして人気を博し、そしてデイリーシーンでも使えるようにデザインされたのが、エルメスの定番アイテムであるバーキンです。
オータクロアが無ければ、現在のエルメスの人気もなかったと言っても過言ではありませんね。
誕生から80年以上の歴史をもつ、ケリーバッグ
エルメスを代表するアイテムのひとつ、ケリーバッグ。
1936年に「サックアクロア」として誕生しました。当時は乗馬のサドルを収納するバッグとして制作され、時代の変化に応じて現在のファッションバッグとしての地位を確立しました。
ケリーという名称の由来は、発売から約20年後の1955年に遡ります。
当時のモナコ王妃であるグレース・ケリーが妊娠中のお腹をパパラッチから隠すために、咄嗟に手に持っていたバッグで隠しました。その様子は雑誌の表紙を飾り、一気にそのバッグの知名度は上がりました。
そのバッグこそが、当時のサックアクロアです。
一躍人気バッグとなったサックアクロアを、エルメスは立役者であるグレース・ケリーに敬意を表すため、エルメスはモナコ王室から許可を得て、「ケリー」に改称しました。
サックアクロアの時代を含め、80年以上の歴史をもつケリーバッグ。 その人気は現在でも落ちる気配はなく、女性の憧れるバッグとして支持されています。
現在でも制作されているアイテムですが、80年以上の時を過ごしているケリーにもヴィンテージアイテムが存在します。新品とはまた違う魅力があり、希少価値もありますね。
再び注目を集める、ビニールケリー
1997、1998年にエルメスが開催した「不思議の国、エルメスの旅」という展示会のみ限定発売されたビニールケリー。
フォルムはエルメスの定番アイテムであるケリーバッグでありますが、素材にはレザーではなくビニールを使用。そのため中身が透けて見え、カバンの中でもお洒落が楽しめるアイテムです。
表面には「SOUVENIR DE L' EXPOSITION」と展示会のタイトルが手書き風にデザインされています。お色は1997年にクリア、1998年にオレンジが限定で発売されていました。
2018年の春夏コレクションでランウェイで登場し、再び注目が集まっています。
90年代前半のみ流通していたとされる、ミニケリー
バーキンと同じくエルメスを代表するアイテムのひとつである、ケリー。そんなケリーを通常よりもサイズダウンしたものが、ミニケリーとなります。
ミニケリーと言っても同じサイズ感でもデザインが異なるアイテムがあります。
ひとつは通常のケリーバッグをサイズダウンし、ハンドルではなくショルダーストラップが特徴的なアイテム。もうひとつは少し丸みを帯びたハンドルがあり、こちらはショルダーストラップが付属されています。
1990年代前半で流通されていました。ケリーバッグと同じく高い人気を誇るアイテムでしたが、現在では廃盤。
サイズは20cmと少し小ぶりでしたが、このサイズ自体も現在ではほとんど生産されていないため、さらに稀少価値が高まります。
エルメスビジネスバッグといえば、ケリーデペッシュ
エルメスのビジネスバッグとして支持されている、ケリーデペッシュ。メンズはもちろんレディースからも人気を集めています。
人気バッグであるケリーを彷彿させる、ベルトや金具などのフロント部分のデザイン。全体的にスタイリッシュな雰囲気がありますが、クロアを外せばマチも広がり、収納スペースも確保できます。
もちろんクロアを外さずとも、書類などはしっかりと収納可能です。
素材やお色によっては廃盤となったモデルも存在するため、ヴィンテージな雰囲気をもつアイテムとなります。
エルメスのアイコン的存在、ケリードール
2000年に限定発売された、ケリードール。エルメスの人気アイテムであるケリーバッグを小ぶりなサイズにし、ユニークでキュートなデザインをプラスしたアイテムです。
1990年代が終わり、プレミアムな2000年代を記念して発売されました。
1999年に当時のCEOであったジーン・ルイス・ドゥーマスが考案したデザイン画から影響を受けて、誕生。 名前の由来は、ケリーバッグのドールデザインと、フランス語で「なんてアイドル!」という意味をもつQuelle Idoleの発音が似ていることから。
発売から20年経っても高い人気を誇り、現在ではエルメスのアイコン的存在しています。
ファーストレディからも愛された、コンスタンス
エルメスバッグの代名詞といえば、バーキンにケリー…そしてコンスタンスでしょう。
コンスタンスが誕生したのは今から50年前。1969年に登場し、エルメスの頭文字であるHマークの金具が斬新で美しいと評判で人気を集めました。
コンスタンスという名前の由来は、デザイナーの娘が同年に誕生したことから、同じ名前が付くこととなりました。
そんなコンスタンスが世界中で支持を集めたきっかけは、第35代アメリカ大統領であるジョン・F・ケネディの妻のジャクリーン・ケネディ・オナシスが愛用していたことから。
50年という長い歴史をもつコンスタンスは、エルメスの熟練した職人でも製造が難しく、その人気の高さも相まってバーキンやケリーよりも入手が困難なアイテムとも呼ばれています。
歴史の長いコンスタンスは、廃盤したお色や素材との組み合わせも多く存在します。
高級感溢れる、ショルダーバッグ
ブラックのドブリス素材とゴールド金具のコントラストが美しいショルダーバッグです。
ショルダーバッグというよりも、ポシェットに近いアイテムで、高い存在感を発揮させます。
ショルダー部分もドブリス素材を使用しているため、長さの調節等は難しいでしょう。またショルダー部分は取り外し可能でもあるため、クラッチバッグとしても活躍します。
ドブリスなどのスェード素材は現在ではあまり展開されていないため、総じてヴィンテージな価値があります。
レザーとの相性抜群な素材、クリノラン
馬の尾毛と麻糸を織り上げて作られた素材で、現在では廃盤となっています。
クランシュバルとも呼ばれる素材で、控えめな光沢感と優れた耐久性をもっています。そして軽量でもあるため、主に小物を中心に使用されていました。
バッグでもバレニアなどのレザーと組み合わせて展開されています。
バーキンはもちろん、ケリーからボリード。コンスタンスにも使用されて、ヴィンテージな雰囲気を醸し出します。
様々なカラーパターンが楽しめる、ヴィブラート
繊細で細やかな毛穴が美しい山羊革素材。
牛革素材よりも軽くて丈夫だと言われているレザーで、ヴィブラートはそんな山羊革を染色し、何層にも重ねて裁断したものを使用している素材です。
様々なカラーで染色し、重ねる順番も決まっていないため、豊富なカラーバリエーションを誇ります。
同じカラーパターンは存在しないとも言われる素材となります。
ここまで、エルメスのヴィンテージなアイテムをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?新作アイテムも素敵ですが、ヴィンテージアイテムもノスタルジックな気分を楽しめますね。